技能実習生送出し
技能実習生とは、発展途上国の若く意欲的な方たちが、日本で技能を学び母国に帰国して、経済発展に寄与してもらうといった制度です。外国人技能実習生とは、技能実習制度に基づき日本の企業と雇用契約を結んで、技能(=技術や知識)を学ぶために就労する外国人の研修生のことを指します。
外国人技能実習制度とは、簡単に言うと外国人の人材育成制度です。日本が受け入れた海外の技能実習生に日本の技術や知識を伝え、彼らが帰国してから母国の経済発展に貢献することが趣旨です。
これまでの技能実習制度下では、受入れ企業や送出し機関によって様々な不正行為が行われていると報告されてきました。
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受入れ企業が技能実習生を低賃金労働者として働かせる
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受入れ企業が技能実習生に賃金を払わない
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送出し機関が技能実習生をあっせんし不当な利益を得る
技能実習生に対するこれらの不当な扱いを是正するために、2017年に技能実習を適正に行うことを旨とする法律が公布され、現在では技能実習の新制度が実施されています。
外国人技能実習生受入れ方式には、「企業単独型」と「団体監理型」の2種類あります。実際には95パーセント以上が後者になります。
企業単独型
企業単独型とは、日本の実習実施者(受入れ企業等)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員等を雇用契約を結び直接受け入れる仕組みのことをいいます。
[海外の企業] [日本の企業等]
技能実習生 →技能実習の実施
上記の「海外の企業」とは、以下の条件に合致する事業所です。
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日本の機関の支店、子会社、合弁会社
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日本の機関と1年以上取引または過去1年間に10億以上の取引の実績を有する事業所
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日本の機関と密接な関係を有すると法務大臣・厚生労働大臣が認める事業所
団体監理型
団体監理型とは、監理団体(事業協同組合等)が傘下の受入れ企業と送出し機関の間に立って技能実習生の受け入れを支援する仕組みです。
[海外の送出し機関] [監理団体] [受入れ企業]
技能実習生 →各種申請の代行 →受入れ・技能実習の実施
団体監理型は、基本的に日本と送出し国の間で作成された二国間取決め(協力覚書)に基づいて技能実習生を受け入れます。二国間取決めには監理団体の許可や技能実習計画の認定を適切に行うことなどが明記されています。
・技能実習生の入国から帰国までの流れ
技能実習生の入国から帰国までの流れは、以下のとおりです。
入国 | 一時帰国 | |||
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 |
講習→実習 | 実習 | 実習 | 実習 | 実習 |
技能実習1号 | 技能実習2号 | 技能実習2号 | 技能実習3号 | 技能実習3号 |
↑技能検定基礎級相当受験 | ↑技能検定3級相当受験 |
↑技能検定2級相当受験 |
入国後、まず2か月程度の講習(座学)があります。日本語や日常生活に関する講義が中心です。その後、実習に入ります。技能実習生は次の号への移行の有無に関わらず、技能実習1号、技能実習2号、技能実習3号それぞれの修了までに技能検定の受験が必要です。これは優良な監理団体や実習実施者かどうかを測る指針になります。合格者が少なければ、きちんと指導、教育をしてないということになるからです。技能実習1号では修了の6ヶ月前までに、技能実習2号・技能実習3号では12か月前までに受験申請をします。受験は必須ですが、合格しなければ次の号に上がっていくことができません。
また、通常技能実習生の受入れ期間は3年であり、5年間受け入れられるのは「優良な実習実施者・監理団体」に限られています。
技能実習生受入れのメリット
企業が技能実習生を受け入れるメリットは、以下のとおりです。
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国際貢献ができる
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企業内の活性化に繋がる
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国際交流・国際理解が進む
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海外展開に役立つ
外国人技能実習生は、働く意欲が高く向上心があるため、日本人社員に働く姿勢を見直すきっかけを与えることになるかもしれません。また、外国人技能実習生が母国に帰ってからも関係を保てれば、現地情報の収集や人脈の拡大も見込めます。国際展開を考えている企業にとっては、技能実習生を受け入れることで事業拡大にも繋げられるでしょう。
・技能実習生を受け入れられる職種
技能実習1号には職種や作業内容の制限はありませんが、技能実習生が以下の条件を満たしていることが必要になります。
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単純作業でないこと
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18歳以上で帰国後修得した技能を活かした業務に就く予定があること
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母国で該当の技能を修得することが困難であること
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送出し国、あるいは地方公共団体から推薦を受けていること
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技能実習と同種の業務に従事した経験があること
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送出し機関、監理団体、実習実施機関等から保証金などを徴収されないこと。また、違約金を定める契約が締結されないこと
技能実習2号の対象職種・作業は、82職種146作業あります(令和2年2月25日時点)
農業関係(2職種6作業)、漁業関係(2職種9作業)、建設関係(22職種33作業)、食品製造関係(11職種16作業)、繊維・衣服関係(13職種22作業)、機械・金属関係(15職種29作業)、その他(16職種28作業)、社内検定型の職種・作業(1職種3作業)です。具体的な職種や作業名を掲載するスペースがありませんので詳しくは厚生労働省のサイトで確認してください。
これらの職種や作業については増える方向で随時変化していますので、最新の情報を確認するようにしましょう。